実力ナンバーワン・バス釣りブログ戦士のMONSTERです。基本的にネット弁慶です。
僕は昔から、34mm径スプールのベイトリールを使うのが好ましい12lb~16lbクラスの撃ち物には、一般的にはフィネススプールともいわれるペラッペのシャロースプールを使っています。
これはイマイチ馴染みのない人も多いようで、読者から何度もシャロースプールを使う理由について質問をいただいたり、「スプール曲がるぞ。アホか?」と煽られたりしてるんですよね。
というわけで今回は、撃ち物×シャロースプールで何が得られるか、このメリットについて詳しく解説します。
目次
シャロースプールだと?
ここでいうシャロースプールというのは、たとえば20メタニウム純正の12lb-100mに対して夢屋から発売される8lb-100mのオプションだとか、ダイワの1016系(16lb-80m)に対して1012系(12lb-80m)だとか、そんなチャチなもんじゃありません。
すなわち12lb-50mクラス。16lbならわずか30mしか巻けないドシャロースプールのことをいいます。多くのインチキカスタムパーツメーカーからとんでもないボッタクリ価格で販売されているアレのことです。
残念ながらこういった規格のスプールは、純正オプション品ではめったにありません。記憶にあるものだと、13メタニウムのBFSスプールMgぐらいですね。
シャロースプールのメリット3つ
僕が感じているメリットは3つ。
- 適合リグウェイトがよりアンダー方向に伸びる
- ピッチングが面白いぐらい低弾道に決まる
- 結果的にラインの節約につながる
ひとつずつ解説していきます。
適合リグウェイトがアンダー方向に伸びる
たとえばロッドに書いてある「適合ルアーウェイト」こそデタラメなので、正直アテになりませんが、仮にそれが1/4oz~1ozだとします。MH~Hクラスの撃ち物ロッドによくあるスペック表記ですよね。

というのは早計で、これまた仮にスティーズA TW 1016XHを合わせて、適当なラインをパンパンに巻いたとします。あくまでも撃ち物タックルなので、ラインはパンパンに巻くのがセオリーです。
タックルバランス的にはかなりキマってますよね。めっちゃイケてます。
でもこのセッティングだと、上限方向の1ozはまずまず快適に使えるんですけど、ハッキリ言って、1/4ozは「使えないことはない」程度に落ち着きます。

ちなみに総重量1/4ozというのは、わかりやすいところで例えるとドライブクローラー4.5インチやスワンプクローラーの1.8gネコリグがほぼ相当します。フックやチューブを合わせて、ちょうど7g程度です。
ドライブクローラー4.5インチやスワンプクローラーの1.8gネコリグですよ?
これは本来、スピニングタックルや、ベイトフィネスの領域。ベイトフィネスと通常の撃ち物の間を埋める18アルデバランMGLやSVライトリミテッドでさえ下限に近いリグウェイトで、ギリギリ快適…いや待てよ、それって快適なのか? ってレヴェル。
スティーズSV TWにやや浅溝の1012G1SVスプールを入れてようやくって感じだと思うんですが、それでも「吊るしで7g余裕。できない人はヘタクソ!」という意見はかなり目にします。えーっと…無理して振ってない?

そこで、34mmスプールの超シャロースプールの出番です。
回転運動は、動体の重量が軽くなれば軽くなるほど小さな力で立ち上がります。これは誰だって知ってることだと思います。

12lb-50mであれば通常のスプールと比較して、ラインキャパが半分以下になります。半分になるとどうなるの? スプールの最終重量が単純に軽くなり、より小さな力で回転させることができます。
かといって上限が下がることはないので、単純にアンダー方向にだけ守備範囲が広くなるということです。
無責任に言い放ちますが、仮に16メタニウムにKTFのバーサタイルフィネススプールをインストールした場合、2.7gのスモラバにディトレーター(2.2g)が普通に快適に扱えるようになります。使わんけどさ。

グリップが…www
ピッチングが低弾道に決まる
というよりは、必ずしも低弾道がいいとも言い切れない場面もあるので、「弾道をコントロールしやすい」と言い換えておきます。
スプールの立ち上がりがよくなることで、ルアーが飛んでいく際の初期速度が別格に速くなり、その結果、低弾道のピッチングがやりやすくなります。その一方で、回転運動は、動体の重量が軽くなれば軽くなるほど小さな力で制動が効きます。つまり、初速は出るけど制動も効く状態というわけです。
繰り返しになりますが、弾道だけでなくスピード、着水点など、軽くサミングするだけで誰にでも簡単にコントロールできるということです。
これが撃ち物においていかにアドバンテージとなるか、いまさら語るまでもないですよね。
余談ですが、シャロースプールの場合、ラインが太ければ太いほど、スプール回転あたりに放出される質量が大きく、回転が軽くなり、ピッチングが伸びます。これはラインを同じ長さストックした場合じゃなくて、同じ質量ストックした場合の話ですけどね。
ラインの節約につながる
出た! 貧乏人特有の発想! と思われがちですが、その通りです。
深いスプールにパンパンにラインを、仮に16lbを80m巻いたとして、撃ち物の場合、せいぜい上から20m程度しか使わないはずです。仮に傷んだラインをブチ切ったとして、数m~10m程度。合計で30mあれば1日の釣りはまっとうできます。
さて、10m減ったラインをどうするか? というところで賛否が分かれるかもしれません。僕なら巻替え一択ですが、下巻きを足して元の外径に戻して使い続ける人も、ひょっとしたらいるかもしれません。でもそれって、面倒くさくないですか?

そんな面倒くさいことをするのも、せいぜい3回です。30m失って、30m分かさ増しのために下巻きを足したとします。残っているラインは50m、しかも散々巻き癖のついたラインです。さすがに巻き替えますよね。
ところが12lb-50mのシャロースプールなら、16lbはそもそも30mしか巻けません。“しか”とはいっても、30mもあれば十分です。これなら、毎回巻き替えてもコスパが同じで、なんなら下巻きが不要な分、結果安く済みます。
とはいえ重要なのはコスパではなくて、毎回フレッシュなラインが使えるということです。
いちどスプールに巻いたラインは、ラインが重なり合っているだけで劣化します。これを大事に何度も使うよりも、毎回巻き替えて新品の状態で使えるならそれに越したことはないですよね。でも毎回75mや80m、場合によっては100mも巻き替えるのはいろんな意味で大変です。
これがシャロースプールのラインキャパなら、減ったり傷んだりしたら使い捨てるというサイクルを通常のスプールよりもはるかに回しやすく、結果的に金もかからないんですよ。
シャロースプールのNO消し
それでもやっぱり「16lbクラスの撃ち物にシャロースプールを使うなんてアホだ!」といいたい人は大勢いると思います。アホだと思ってるから、やらないんですもんね。共感できる人はすでにやってるでしょう。
- ラインがたくさん巻けない
- スプールが軽いと飛距離が出ない
- 強度に不安がある
ラインをたくさん巻きたい人
今回は撃ち物に限ってシャロースプールを勧めていますが、僕の場合は琵琶湖のヘビキャロを除く底物にもシャロースプールを使うことがあります。たとえば通常のキャロやテキサス、フットボールジグなど。

撃ち物の場合は14lb-40m~16lb-30m、底物の場合は12lb-50m~14lb-40mのセッティングが多いですが、このラインキャパで不自由したことがいちどもありません。60mや80mあれば…なんていう経験をしたことがないんですよね。
だから「もっとたくさんラインを巻きたい」って人と僕とでは、撃ち物といってイメージしているものが違うはずなので、このNOは消せません。
飛距離を出したい人
スプールが軽いと飛ばないというのがそもそも間違いなんですが、それは置いといて、撃ち物は飛距離を出す釣りではないです。
底物の場合は、ある程度投げますよ。でも操作系のリグを40m~50mも投げることってありますか? 40mって相当な距離ですよ。
飛ばすだけならいいんですけど、初期伸度10%程度のフロロカーボンラインではまず思い通りにアクション出来ないし、アタリがあってもほぼ取れない距離です。フロロカーボンの伸度は17%~37%なので、フッキングパワーも伝わりません。
底物でこのザマなので、撃ち物は言わずもがな。
強度に不安がある人
これこれ。バス釣りやる人って、強度や剛性にやたらと言及しますよね。
「デカバスにスプールを曲げられた」(ナイナイ…)
「フルフッキングしたらジュラルミンギアは欠ける」(ナイナイ…)
「シャツのボタンのようにガイドを引きちぎるデカバス」(言ってることヤバすぎ…)
今回はスプールの話ですが、フィネススプールに16lbを巻いて撃ち物をしたらスプールが曲がる…みたいな想像をしている人がいそうです。
たとえば、ベイトフィネスリールのスプールに8lbを巻くのは一般的なセッティングですが、そこに16lbを巻いたとしても、スプールにかかる負荷は変わりません。これ、わかりますよね? ラインを引張する力はライン強度に関係ないからです。
さらに、負荷がかかるのはスプールの回転軸に対してです。スプール表面から回転軸方向に対して押しつぶすような負荷は、リールの構造上、かかりません。
スプールの回転軸にかかる負荷はトルク(回転軸の周りの力のモーメント)で、ラインにかけられた力にスプール(糸巻面の)半径を掛けることで求められます。このトルクを逃がす構造がドラグです。スプールをペシャンコにするような力の働きは、実は物理的に存在しないんです。
指でスプールをロックした状態でとんでもない負荷をかけたら当然潰れますが、これはシンプルにトルクが逃がせなくなることで、いよいよスプールシャフトに引張力がかかるからです。
シャフトが曲がるとスプールがフレームに触れ、圧がかかり、エッジが曲がったりへこんだりします。根掛かりを外すためにスプールを壊してしまう人がいますが、つまりはそういうことです。
これはスプールの種類に関係なく、使っている人がバカなら起こります。
まとめ
僕は間違ったこともいろいろ言いますが、撃ち物リールに浅溝スプールだけはガチです。
読んでイライラした人はいませんか? 本当にすみません。僕もなぜか、書きながらイライラしました。そういう論題ですが、今後ともよろしくお願いします。