2019年は19アンタレスに19ヴァンキッシュ、19セルテートに各CTシリーズ、話題に事欠かない、充実の新製品が目白押しでしたが、その中でもある意味もっとも目立ってインパクトがあったのはコイツかもしれません。
フィッシングショーでの発表はなかったので、完全にノーマークだった19ストラディック。5月頃にシレっとシマノ公式ホームページに掲載された瞬間話題沸騰、そんでもって7月にいざ発売されたかと思いきや、バス釣りで最もニーズのある2500SHGは即売り切れ。
「おいおいマジか!どんだけスゴイんだ!」なんて思いながらウォッチしていたらだんだん欲しくなってきたので、2度目の出荷を待ってめでたく2500SHGを購入しました。
オッシャ!ゲット! で、ぶっちゃけて言います。
19ストラディックはとてもいいリールだとは思いますが、どこをどう見ても値段相応のリールです。
「限りなくフラッグシップモデルに近づいたリーリング性能」だとか「上位機種に匹敵する充実のスペック」だとか、キャッチコピーそのままのインプレが多い中ディスるのは気が引けますが、安物は安物。フラッグシップに慣れてしまっている人は、どんな理由があれ、あと数万円足してフラッグシップを買ってください。でなきゃ無駄遣いになりますよ。
というわけで、今回は実際に購入・使用した19ストラディック2500SHGをインプレします。
目次
19ストラディック登場!

19ストラディック2500SHGゲット!
かつての人気機種・バイオマスターの海外版商標モデルにあたるストラディックシリーズが逆輸入され、日本に上陸したのが2015年。
コアソリッドシリーズの中核を担うシリーズとして発売され、4年を経てついにモデルチェンジされました。
発売から4年というのは通常のモデルチェンジ周期なんですが、ハッキリ言って縁のないシリーズだと思っていたので、まったくのノーマーク。2019年の各フィッシングショーで発表されなかったことすら気にしていませんでした。
それが突然、驚きのカタログスペックで発表され、あれよあれよという間に発売。これはいかにも売れそうだな~とは思っていましたが、案の定大人気の様子。
冒頭書いたように、買えない期間があったぐらいです。こんなの初めて。
驚きのカタログスペック
この19ストラディックのスゴイところは、なんと言ってもてんこ盛りの技術特性…だけではなく、これまではフラッグシップにしか許されていなかった技術特性が、どういうわけかイキナリ採用されている点。

19ストラディックの技術特性アイコン

一方で18ステラの技術特性アイコン
これだけ見れば、本当に「ほぼステラじゃねーか」となりますよね。一目でわかる差といえば「E.I.(超防錆処理)」と「リジッドサポートドラグ」ぐらいです。
ステラでテストされた技術がセカンドグレードのヴァンキッシュやツインパワーに回ってくるのならわかります。実際、14ステラに初実装のGフリーボディは15ツインパ、16ヴァンキッシュにホイホイと継承されました。
19ヴァンキッシュにはついに、長年ステラのみの特権だったロングストロークスプールが搭載されましたよね。
ヴァンキッシュでさえ「ついに!」なんですよ。じゃあ次があるとしたらツインパだろ!常識的に考えて…。
ところが19ストラディックがツインパを差し置いてロングストローク化。つーかツインパはモデルチェンジさえされませんでした…ストラと同じく4年経ってるのに。
しかし実際には…
HAGANEギアやマイクロモジュールギア、X-SHIP、HAGANEボディ、その他エトセトラ。この辺の内部構造はどうでもいいです。同じ技術に見えて、実際には細かくグレードが分かれていますから。

触らなくてもわかる次元の違い
とにかく、ヤケクソのように盛り込まれた技術特性アイコンから「ほぼステラ」なんて思う人もいるわけです。僕も「同じ技術でも中身は別物」とわかりつつ、えらく期待してしまいました。
だって実質20000円を切るぐらいで、評判通りの「ほぼステラ」なら、予備用リールとして十分に使えるし、例えばパワーフィネスのような、リールにとんでもない負荷をかける釣りで使い捨てるにはもってこい。気兼ねなく人に貸すこともできる、夢のようなリールですもんね。
そんなことを考えながら買ってみましたが、実際使ってみるとメダパニとマヌーサを同時に食らったかのような気分になりました。
部屋クルで真価を発揮
着弾後、大喜びで開封して部屋でクルクルした限りでは、確かにこれまでの安物とは一線を画すソリッド感があります。
さすがに新品特有の巻き重りはキツかったですが、これは使い込むごとに改善しそうなので及第点。
シャリ感やゴリ感ももちろんなく、この時点では本当にお買い得なリールだと思っていました。
デザインは文句なくカッコいい
あとどうでもいいことですが、シルバー&ネイビーのツートンは素直にカッコいいと思います。19セルテートも似たようなカラーリングなんですが、これが嫌みのないカッコよさで好感触です。

さっきとは反対側のサイドビュー
18ステラや19ヴァンキッシュ、18イグジストも旧モデルからモデルチェンジして嫌みのない感じに寄ってきましたが、やっぱ最近はゴテゴテギラギラしたのは好まれないんですかね?
実釣インプレッション
というわけで、ウキウキしながら実際に使ってみました。フィールドは関西を代表するリザーバー。日吉ダム、一庫ダム、いずれもボートにて。

ストラとライバルたち
ほぼステラ→ほぼストラ
数回の釣行で確信したのは、これはまごうことなきストラディックということです。技術特性てんこ盛りになったとはいえ、所詮は20000円のリール。「とんでもない進化を遂げた!」とは思わない方がいいですね。
ネガは挙げるとキリがないので、2点に絞って紹介します。
- 自重も巻き感も、とにかく重い!
- やっぱり作りがチープすぎる!
以上です。
自重220gは重くないはずだが…
それこそ5年前のことを思えば、2500番台で自重220gというのはむしろ軽い部類。
ですがこの5年間でスピニングリールが進歩した点といえば、軽さを除いて他にないと言ってもいいぐらい、最近のリールは軽いんですよね。
以前、同じく220gの14ステラ2500Sを使用していました。同じ路線(コアソリッドシリーズ)の15ツインパワー2500HGSが240gということもあって、220gは本当に軽かった。
でもそれ以降のモデルはもっと軽いわけです。18ステラ2500SHGが205g、19セルテートLT2500S-XHも205g。堅牢タフユースをウリにしたスピニングリールもついにここまで来たんだって感じ。
これに慣れてしまっていると、もう220gは筋トレとしか感じません。そういう時代ですね。
もちろんストラディックは軽さを売りにしたリールではないので、重いことをディスるのはお門違いかもしれませんが、やっぱり重いものは重いです。
巻き感の重さ、改善せず
新品特有の巻き重りは使い込むごとに改善する…と思っていたんですが、どうやらこれは改善の見込みゼロです。
ハイギアだからというのもありますが、14ステラや15ツインパワー、18ステラとは次元の違う巻きの重さ。せめて15ツインパワー2500HGS並なら気にならないんですけどね。
内部構造は(各技術特性のグレードが異なるとはいえ)ほぼ同じなので、これはローターの重さと組み立て精度に起因するんじゃないかと邪推しています。ハッキリ言って、これじゃあ旧ストラディックとも大して変わりません。
バス釣りで使うなら、回収能力に優れた2500SHGは本来ワーミングや、PEラインを用いたメタルルアー向けの番手だと考えていますが、それにはちょっとおすすめできないかなぁ。
ノーマルギアの2500Sを巻き物などラインテンションをかけ続ける釣り使うならいいかもしれません。持ってないので何とも言えませんが。
高負荷時はローターの歪みが気になる
ごめんなさい、数回の釣行で数は釣りましたが、実はサイズは40cmどまりなので高負荷と言うのはちょっと恥ずかしくもあります。
でもそんなしょうもない魚でさえ気になったのは、ドラグをロックした状態でのローターの歪み。フロロ6lb、またはPE0.6号以上のラインであれば、ロックに近い状態(1.5kg以上)で常用すると思いますが、これは少々コワいです。
19ヴァンキッシュなどローター素材がCI4+のリールはもちろん、金属製ローターの18ステラでさえ高負荷時はローターが歪みます。つってもそれは、「まあこれぐらい歪んでも大丈夫だよな」ってレベル。
ところが19ストラディックは、「ホントにこれ大丈夫なの?」って思ってしまうぐらいグニャっといきます。実際には屁でもないのかもしれませんが、なんとなく「そのままゴリゴリ巻いたら具合が悪くなりそう」に感じました。
素材ももちろんですが、形状もヴァンキッシュやステラとは大きく異なるので、それが影響しているのかもしれませんね。
ステラの替えスプールが使える
散々悪口を書いてしまいましたが、いいこともあるにはあります。
18ヴァンキッシュと同じで、ロングストロークスプールが使えるということはつまりステラのスプールがそのまま使えちゃうわけです。
リール本体と違い、処分しにくい資産が転用できることはメリットですね。

ステラのスプールをつけたらハイエンド感が漂う
まとめ
というわけで、19ストラディックはやっぱりストラディック、値段相応のリールだったというお話でした。
買ったはいいものの、目的をもって使用するということは今後なさそうです。ボート釣行などで、メインのリールが壊れたときの保険として活用しようと思います。