ファクトブランドのウルトラフィネスロッド、HFAS-61ULST。つい最近購入&ファーストインプレを書いたばかりですが、とにかく1か月間肌身離さず使い込んだので、実釣でのインプレッションを書き綴りたいと思います。
前置きではセッティングやら何やら書いてますが、かなり長いので興味ない人は「実釣インプレ」まで飛ばしてください。
目次
テスト環境
5月19日に購入してから1か月間、釣行回数にして10回程度、関西の有名リザーバーに通いこんで、カスみたいな魚を含め30匹ぐらい掛けました。
青野ダム、布目ダムではブラインドの釣り全般を。高山ダムではサイトや中層の釣り。日吉ダム、比奈知ダムではサイト。…って感じで、短期間のわりに色んなフィールド・シチュエーションで試せました。
まずは幼稚な感想文
アベレージは35ぐらいで、50を超えるマトモなサイズは1匹だけでしたが、それがこのロッドを購入した最大の目的である「サイト」で獲った魚だったので、ありとあらゆる補正がかかって余裕の一軍入り。

C-4ジグで乱獲
とくに関西のクリアウォーター系リザーバーで釣りをする上で、今後なくてはならない武器になったと思います。
正直言って扱いやすいロッドではないですが、極めて狭いストライクゾーンにビタっとはまった時のリニアな操作感はヤバイの一言。
とにかくシビアなセッティング
ぶっちゃけ、ベイトタックルに比べていい加減な設定でも、本来はそれなりに使えてしまうスピニングタックル。ところが、HFAS-61ULSTは合わせるリール、ライン、ルアーウェイトにはかなり神経質にならざるを得ません。いかんせん尖りすぎていますね。
はじめて釣り場に持っていったときは、なんじゃこのロッド、使いにくすぎだろ!って思いました。ラインを通すまで性格がわからないロッドの典型ですね。
リール:16ヴァンキッシュ2500HGS
ライン:シューター・FCスナイパー4lb

とりあえず16ヴァンキッシュ2500HGSを乗せてはみたものの…
福島健氏が2500番のリールに4lbラインを合わせて使用していたので、何も考えずにホコリをかぶっていた16ヴァンキッシュ2500HGSをつけて4lbを巻きました。
ところが、これが正直快適とは程遠くて…。とにかくチョークガイドをラインが叩いて飛距離が出ない。
小径チョークガイドはリールとラインを選ぶ
福島プロはなんで2500番+4lbラインなのか…やはり稀代の名作と言われる01ステラFW 2500Sだからなのか? 賛否両論のスーパースローオシュレートが効いているのか? いやー、わかりません。とにかく僕には2500番+4lbはNGでしたね。
一応表記上は5lbまでのラインが適合するはずですが、ただでさえ4lbがキツイんだから、さすがに使う気になれません。16ヴァンキッシュ2500HGSで一度だけ試しましたが、まったくもって論外。
はじめの難関はチョークガイド(元ガイド)で、2500サイズのスプール径から送り出されるラインがバタバタと当たり、失速感がキツい。じゃあ小径スプールのC2000や1000番台でどうか…と思いましたが、太糸特有のハリのせいでスプールへの定位性が悪く、トラブルが頻発。

太糸はとにかくチョークガイドを通らない
次の関門はラインの重ささえ感じることができる(などと意味不明の供述がされている)ベナンベナンのソリッドティップ。太いラインの場合、本当にラインが重いので振りぬいた際になかなか収束しない=ブレが収まらないので、ダブルで不適合な感じがします。
後述しますが、とにかくしなやかなラインを巻くのがイイと思います。
ウルトラライトリグ
ドライブクローラー4.5(約4.2g)の0.9gネコぐらいヘビーなリグになると4lbであろうが5lbであろうがお構いなしに、必要十分な飛距離が稼げます。でもそんなリグだと、そもそも5lbクラスの別なタックルの方が扱いやすいし、思い切り振りぬける分ぶっ飛ぶじゃないですか。
でもHFAS-61ULSTの主力となるのは、1.3g程度のスモラバ(トレーラー込みで3g弱)やラストエース(約2.8g)ノーシンカーなど、3gを切るようなクソライトリグ。ここまで軽くなると、リグウェイトがラインをスプールから引っ張り出す力が非常に弱く、ごくわずかな抵抗でブレーキがかかってしまう。
結局、ラインはどれだけ太くても4lbが限界だし、リールはできれば2500番より小さいものがよさそうだというのがここまでの話。

17ヴァンキッシュFW 1000SHGのような小径スプール機が生きてくるか?
ベストな設定その①
ベストなのになんで複数個あるんだって言いたくなる気持ちはわかりますが、とにかく「その1」。今後その2、その3と湧いて出てくるかもしれませんが、現状はこれがベストセッティングです。
リール:17ヴァンキッシュFW 1000SHG
ライン:シーガー・フロロマイスター 4lb
またしても安物ライン、シーガー・フロロマイスターが活躍。というのも、チョークガイドをスムーズに突破するにはすでに書いた通り小径スプールのスピニングリールを使うか、もしくはできる限りしなやか&細いラインを使うのが得策。
ということは小径スプールに3lb以下の細糸を、しかもシューター・FCスナイパーのような硬くてコシのある(しかも他社よりちょっと太い)ラインではなくてシーガー・フロロマイスターやシーガー R18 フロロリミテッドのような柔らかくしなやかなラインを巻くのが一番。
確かに飛距離という観点では間違いなくその通りなんですが、実は細糸は思いのほか伸びて操作感&感度が悪いんで、4lbのほうがイイ感じでした。
とはいえ欠点がないわけではなくて、やっぱり1000番クラスの小径スプールだとラインが浮きやすく、それによるライントラブルは未然にケアしなきゃダメです。

これぞ最高のセッティング
3lbじゃアカンのか
飛距離が欲しいときや、リグを思い切り深くまで沈めたいとき、シェイク主体の釣りをするときは3lb、もっと言えば2lb以下もアリですが、その分トレードオフとなるのがリニア感です。
僕の場合はシェイクよりもトゥイッチのようなキビキビしたアクションが好きなので、動かしたい分だけ動かせて、止めたいタイミングで止められることが優先。なんですが、ラインが必要以上に細い=伸びやすいと、止めた後にダラダラ動くんですよね。だから4lbかな~と。
頻繁にケアしたい糸ヨレ問題
これは3lbであろうが4lbであろうが同じことなんですが、スピニングリールは構造上、キャストするたびに必ず糸ヨレが発生します。
糸ヨレ自体がトラブル、というわけではなくて、糸ヨレをそのままにしてくるとトラブルに発展するので、頻繁にケア=すでに起こった糸ヨレを元に戻したいところ。
で、今更ですがその方法を習得したので参考動画を載せておきます。
映像はフライフィッシングのものですが、スピニングリールにも応用できます。
数キャストに1回ほどのペースで、馬鹿の一つ覚えのように実行していますが、マジでトラブルが激減します。というか、糸ヨレからくるトラブルはまったく起こらなくなりますよ。
実釣インプレ
ようやくここからが実釣インプレなんですが、そもそも今からHFAS-61ULSTを買おう! なんて人は少ないと思います。じゃあ他社製品で近しいスペックのものがあるかと言うと、あるかもしれませんが、僕が知る限りは存在しません。
だから何の参考にもならないかもしれませんが、一応書いておきます。
リール:17ヴァンキッシュFW 1000SHG
ライン:シーガー・フロロマイスター 4lb
すでに書いたベストセッティングと同じですが、一応。
必要最低限の飛距離
サイトフィッシングでは魚との間合い的に、15m飛べば十分だと思っています。というか逆に15mは飛んでほしい。見えている魚からそれ以上に離れることはないし、逆に15mも離れられたら何かしら視界を遮ることはできるし、滅茶苦茶有利だと考えているからです。
で、投げるルアーと言えば基本は1.3gのスモラバ(C-4ジグ)なんですが、トレーラーをつけても3g弱。言ってみたら飛ばないルアーの代表的なやつです。

えげつないほど釣れるC-4ジグは1.3gを基準に、1.8gも使う
結論から言うと、4m超えの風が吹いているとか、糸巻量が著しく減っているとかがない限りは、ギリギリ15m飛びます。これが3lbならもう少し飛ばせますが、頑張ってもせいぜい20mです。
次元が違う操作性
リグを飛ばしてしまえばあとはすこぶる快適で、ファクトシリーズに共通の「必要以上に動かさない」ティップは健在。
バット~ベリーにかけてはガッチガチの高弾性で、ロッドワークは非常にシャープで軽快なんですが、ティップのダルさがアクションの伝達をいい具合に圧縮してくれます。

超繊細なソリッドティップが余計なアクションを吸収
ウルトラライトリグの場合、たとえば5cmだけ動かしている気でいても、普通はなかなかその通りにいかず、思った以上に…どころかその何倍も動かしてしまっています。
ショートかつ軽量なHFAS-61ULSTはなおさら、ついついチャカチャカと操作してしまいがちですが、それでもリグをイメージ通りに動かすことができる。これは本当に、次元が違うと言っても言い過ぎではない操作性だと思いますよ。
てか真面目な話、HFAS-61ULSTの特徴ってこの項目に尽きるんだけど、どうもうまく説明できませんね~。
スピードを出しつつ小移動というのが自分的にはとても難しく、タックルのおかげで実現できたと思います。雑誌とかでよくある「このタックルだから獲れた!」とか「このルアーだから釣れた!」とかいう表現はぶっちゃけアホかと思ってますが、道具に助けられることはマジであります。
太軸フックOK
ウルトラライトと聞くと、それはもう繊細なイメージがあって、太軸フックなんてとんでもない! って感じがします。
でもHFAS-61ULSTの場合、たしかにティップはウルトラライトなんですが、ベリー~バットにかけてはマジで強いです。

細身だけど高弾性カーボン+4軸補強でバリ強い
そこら辺のミディアムクラスと同等と言っていいぐらいだし、4lbラインを使用していることもあって、糸みたいな線径の細いフックでなくても積極的に貫通を狙っていけます。
ワッキーやネコ、ラストエースのノーシンカーではパワーワッキー#2をメインで使いますが、稀に伸びることさえある始末。
クラスを超えたパワー
正直ベナンベナンなULクラスを使ってきた人には違和感さえあるかもしれません。太軸OKの項目でも強いと表現しましたが、これはよく曲がるロッドにありがちな「粘り強さ」という意味ではなくて、撃ち物向けロッドのような「高反発力」です。
つまり、曲がれば曲がるほど戻ろうとする=トルクがあるわけではなくて、曲がらない=バリバリの高弾性ブランクスということです。4lbラインの限界値程度の負荷であれば、バットにはまだ余力があります。
とはいえ、あえてライン強度ギリギリでまで負荷をかける意味はないので、ドラグは1.2kgぐらいの設定で良さそうです。それでも通常からするとかなり強めの設定ですけどね。
50cm程度が相手であれば、ロックに近い状態で強引に寄せることもできます。
ちなみに同じ設定で70cmぐらいのコイも釣りました。インレットからの流れの中でも難なく寄せられましたね。

高山ダムでボテボテの鯉をキャッチ
まとめ
本来は僕の流儀(爆笑)ではありませんが、導入してよかったと思えるウルトラフィネスロッド、HFAS-61ULST。
合わせるリールやラインはやや選びますが、クリアウォーターのリザーバーや、そのバックウォーターでサイトフィッシングをやりたい人には特にオススメできます。