突然ですが、すでに所有しているロッドで2本目が欲しいと思ったことありますか?
エアマックスなら外履き用と室内用、さらに観賞用で3足必要という人がほとんど(?)だと思いますが、バスロッドとなれば話は別。
同じロッドは折れたり極端に痛まない限り1本あればいいし、寿命を迎えるかそれに置き換わる新製品が出ればお役御免というパターンがオーソドックスですよね。
僕もそういう人間で、超お気に入りのジャングルスピンでさえ「もっと軽くなんねーのか」などとブツクサ言いながら使っている始末。
めちゃくちゃいいロッドなんですが、代わりがきかないか?といえばそんなことはないし、今後ジャングルスピンを超えるパワーフィネスロッドが登場しないのか?といえば今流行りに流行っているメソッドなだけあって、ある日突然登場してもおかしくない。
保証期間内に折れたら免責金額で交換するだろうけど、今は使用しつつもさらに好みに合うロッドが登場するのを待っているって状態。普通はそうですよね。
でも2016年の10月に購入して以来、常にピンチヒッターとして活躍してきたベイトフィネスロッド「ヘラクレスファクトHFAC-511MHST」だけは違うんですよね〜。
僕にとってこれを超えるベイトフィネスロッドは今後登場しないと断言できるアイテムなので、今すぐにでも2本目が欲しいわけ。

僕が最強を信じているファクトHFAC-511MHST
今使っているものはすでに保証期間を過ぎているし、この手のピーキーなロッドは数年で廃盤になるのが通例なもんだから、(0歳の娘がいずれ嫁ぐことを想像して悲しむ父親のように)不安でいっぱいです。
というわけで今回は、どうしても2本目が欲しいファクトHFAC-511MHSTの魅力をシェアします。
目次
FACT HFAC-511MHST
エバーグリーンの契約プロ、福島健がプロデュースするファクトシリーズといえば尖りまくったラインナップが特徴ですが、その中でもひときわ尖っているのがこのロッド。
2018年にはHFAS-511MHSTというスピニング版が発売されるそうなので、ピーキーさトップの座はそちらに譲ることになりそうですが…非っ常~に気になるロッドなので、発売されたらとりあえず買うつもりです。
話が逸れましたが、このHFAC-511MHSTは品番からもわかるように、5フィート11インチ(1.8m)とスーパーショートなミディアムヘビークラスのベイトロッド。
公式のスペックがこちら。
全長 | 1.8m | 継数 | 1 |
---|---|---|---|
標準自重 | 105g | パワー | ミディアムヘヴィ |
ルアー範囲 | 3.5~17.5g(1/8~5/8oz) | ライン範囲 | 8~14lb |
価格 | 60,000円(税別) |
ミディアムヘビークラスのロッドは「おかっぱりベイトロッド大三元」のひとつと言ってもいいぐらい使用頻度の高い番手で、テキサス、ラバージグなどの撃ち物はもちろん、3/8oz前後のワイヤーベイト、スイムベイト、果ては高比重ソフトベイトのノーシンカーまで…人によってはそれよりもさらに幅広くカバーできてしまうユーティリティーロッドだという認識が一般的。
かといってHFAC-511MHSTは、そんな一般的なスペックのミディアムヘビークラスのつもりで買うとえらい目にあいます。
ベイトフィネスロッド?
MAX5/8ozの適合ルアーウェイトに加え、14lbのラインに対応するスペックは、なんつーかフィネスからは程遠い印象を受けますが、誰がなんと言おうとベイトフィネスロッドです。
ベイトフィネスって定義がどうも最近あいまいになってきていて、ベイトフィネスプラッキング!なんて堂々と言われても「???」「それってただのライトプラッキングなんじゃ…」となっちゃいますよね。
原理主義的な考え方にはなりますが、スピニングタックルじゃ撃てない、撃っても取り込めないカバーに対して、ライン強度的により有利なベイトタックルでライトリグを放り込むっていう釣りこそがまぎれもなく、ベイトフィネスらしいベイトフィネスでしょう。
フィネスっていう言葉がイコールワーミング、かつライトリグを意味するってのも本来の言葉の意味からすれば曲解っつったら曲解なんですけど、これは「フィネスで釣った」=「ライトリグで釣った」みたいに言葉だけ置き換えても会話が成立するので大体意味が通ります。
この話の流れに則れば、HFAC-511MHSTはカバーにライトリグを入れるためのワーミングスペシャルロッド。いかにも!なベイトフィネスロッドです。

得意とするのはスモラバ、ネコリグなどのワーミング
とはいっても、ごくありふれたベイトフィネスロッドとは性格が大きく異なりますけどね。
獲る性能に振り切ったベイトフィネス
まず誰がどう見ても特徴的なのが、6フィートを切るショートレングスと、ミディアムヘビークラスという規格外のパワー。
それに加えて品番末尾のSTはソリッドティップを意味します。ソリッドティップ採用のベイトフィネスロッドは今時めずらしくもなんともないですが、さすがはMHクラスなだけあってクソ太くハリがあります。
さらにガイドはすべてチタンフレームトルザイトリングガイド。何ならストリッピングガイド(元ガイド)までシングルフットフレームという尖りっぷり。

ストリッピングガイドまでシングルフット
これら違和感のある特徴のすべてが、魚をより獲りやすくするための仕様ということ。これはHFAC-511MHSTを一振りすればわかってもらえると思います。
高精度なピン撃ちを可能にするショートレングス
はじめに言っておきますが、飛距離に期待してはいけません。ベイトフィネスタックルの評価の際「~グラムの軽量リグを~m飛ばせた」なんていう飛距離測定をやる人がいますが、そういう飛距離自慢大会なら圏外の成績しか残せないと思います。
ベイトフィネスで実用的なリグの下限ウェイトは、総重量3グラム程度だと思います。シンカーウェイトじゃなくて、総重量ですよ。1グラム台のリグを飛ばす人もいますけど、実用的なのは3グラムぐらいからでしょう。

16アルデバランBFSとのチームワークがすごい
で、3~5グラム程度のリグを遠くまで飛ばそうと思ってもそんなに飛ばないわけ。なぜかというと、極端に短いことと硬さが影響して、リグの重みで十分に曲がらないからです。
ソリッドティップのおかげでややマシにはなっているんですが、一生懸命テイクバックしてしならせても復元力が高すぎてすぐに戻ってしまう。曲げれば曲げるほどリリースポイントがシビアになります。
だからキャスト時にはサイドから送り出すようなイメージで投げた方がイイ。結果、他のロッドより大きく劣ることはないにしても、飛距離はそれなりです。
ところが、それほど遠くない的を狙い撃つピッチングとなれば話は逆転。
ショートレングスかつハイバランスだからスピード感のある振り上げが可能で、低弾道の刺さるようなピッチングが決まるのなんの。いやスゴイね。
そもそもキャストと違ってティップにウェイトが乗らなくても問題ない、というかティップがお辞儀をしているとかえってやりにくいのがピッチング。シャキッとしてモタつかないティップが、スムーズにラインを送り出してくれます。
また、振り子の原理でリグを送り込む「似非ピッチング」では到底できないピッチングからのスキッピングも、ロッドを振り上げる勢いでスピードが乗りやすいからやりやすい。
だから僕のようなヘタクソでも、それっぽい所作でピン打ちができてしまうわけ。計り知れんメリットですよこれは。
ピッチングさえビシッと決まれば、オーバーヘッドキャストやサイドキャストは「フカフカになってしまったスプールを元に戻すとき」しかやんないですから。そうでしょう?
接近戦が主体となるベイトフィネスでは、ピッチング性能を重視!そんな人なら迷わずこれ買ってください。
硬いから決まる、超速フッキングレスポンス
ショートロッドはしなり戻りが早い。だから普通は、キャスト時にウェイトが乗りやすいようにややスローめなレギュラーファーストテーパーに仕上げられることが多いですよね。
これと、そもそもストロークが短いことが悪さをして、とにかくフッキングが決まらない。喰ったら掛けるという動作が優先されない巻き物なんかだと別にどうってことないんですが、底物を中心としたワーミングでは死活問題です。
でもHFAC-511MHSTは「キャストしやすいテーパー」なんていう親切設計がされていないので、フツーにティップしか曲がらないバチバチの打ち物向けテーパー。
しっかりベリーで止まるアクションがフッキングストロークの貧困さを補って、最大射程(ピッチングならどう頑張っても13m程度だと思います)の魚をバッチバチに掛けることができます。
短く軽いことから、アジングか?ってぐらいクイックに振り上げることができるのもメリットですね。
反響感度がケタ違いだ
底物系フィネスで最重要なのが反響感度。つまり、ラインを通って伝わる振動を手元で感じられるかどうかということなんですが、ロッドの反響感度特性は基本的に下記要素で決まります。
- 軽ければ軽いほどイイ
- 短ければ短いほどイイ
- 低樹脂であるほどイイ
- 高弾性であるほどイイ
ガイドなどのパーツが伝導性のいい素材かどうかなども関わってきますが、ほとんどブランクスで決まります。
ガイドだけいっちょまえにチタンフレームトルザイトリングガイドにしたとしても、中国製レジンリッチ(高樹脂)カーボンブランクスなんかだと物性的にほぼ意味がありません。メーカーに騙されがちなので、注意が必要です。
さらにいうとソリッドよりはチューブラー(中空構造)の方が反響すると言われてますが、これもレジン量と弾性率によっては逆転するので間に受けない方がいい。
ただし上記①〜④だけはガチなので、ロッドの反響感度特性をカタログスペックから判断する際の目安にしてOKかと思います。これはまた別記事で詳しく書こうかな。
ファクトシリーズすべてに言えることなんですが、バット〜ベリーにかけてはどのアイテムも(ULクラスのスピニングロッドでさえ)バチバチの高弾性ブランクス。東レの低樹脂カーボンプリプレグ「トレカ」使用なので、不純物であるレジン量が相当抑えられています。
だから小さなアタリも金属的な反響で手元に伝えてくれます。「コンコン」ではなく「ギンギン」って感じ。これには本当にビビった!

バット部の4軸織物も高弾性化に寄与している?
4軸織物はねじれやつぶれに対する復元力を強化するわけですが、もともと太いバットに巻いても意味ないと思いますけどね。
ACSリールシートがイイ
ファクトシリーズのベイトキャスティングモデルの中でHFAC-511MHSTだけがACSリールシートを採用していて、他はすべてECS。これは完全に僕の好みなんですが、ACSリールシートが好きなんですよね。
トリガーが太いので、3フィンガーでは小指と薬指の間が痛くなるという人がいますが、実は僕もそうなんです。でもなんでACSがイイかというと、1フィンガー、2フィンガー時に一番安定して握り込めると思っているから。

いい加減な握り方でも安定するACSリールシート
落ちパクが期待できるカバーでは、2フィンガーでピッチングからフッキングまでの動作をこなすことがよくあります。突起があり、いい加減なグリップでも安定する上にブランクタッチできるACSリールシートが、ベイトフィネスにはベストだと考えています。
まとめ
とにかくおすすめできるヘラクレスファクトHFAC-511MHST。僕的なトレンドの使い方はもっぱらパワーベイトフィネス。
近いうちに2本目を購入することになると思いますが、皆さんにもぜひこのロッドの素晴らしさを体感していただきたいですね!

ファクツ!