前回、「なんの特徴もないクソリール」と評したことで、読者の方からたくさんのメッセージをいただきました。ひとつ、ご紹介します。


…ずいぶんお怒りのようです。汗

問題の記事はこちらです。
とにかく遠くへ飛ばしたいおかっぱりなら、悪くない選択だと思います。でも僕はボートでの使用がメインなので、遠投性よりも制動性やトラブルレス性が欲しかったです。
こう書いていても「遠投しか能がない左巻きバカ」だと見なされてしまう世の中です…言いたいことも言えないこんな世の中じゃPOISON GLORIOUS。
あ、左巻きバカは正解ですね。笑
みなさんも表現には十分に気を付けてください。汗
というわけで! 今回も懲りずに19アンタレスHGのインプレを続けていきたいと思いますが…発売前の紹介記事も含めて、今回で実に4度目のインプレとなります。
さすがにしつこいので、これをもって最終章とさせていただきます。

目次
19アンタレスHGの正しい使い方
なんの特徴もないクソリールという印象は変わりませんが、使い込むうちに「これだな」というのが見えてきました。
ズバリ言います。
19アンタレスHGは、10~12lbクラスのラインを使ったファストムービング系タックルに使う限り、他の追随を許さない専門性を発揮します。

ピーキーに感じる人は
19アンタレスに関わるネガティブな評価のうち、よく目にするのは「ブレーキがピーキー」というもの。
「不良品じゃねーか!」と大騒ぎする人がいるぐらいでした。
左ハンドルが発売される前に借りていた友人の19アンタレスHG(右)は、使っているうちに異音がするようになって、メーカーに送ったら初期不良ということで修理されて帰ってきました。
工業製品なので、稀にそういうこともあります。
でも、ピーキーという人はほとんどの場合、正常な状態のリールを使っていながらそう感じているわけです。
使い方を間違っている
基本的にこれなんですよね。
世界のトップ企業が作った製品を使いにくいと感じるのは、使い方を間違っているケースがほとんどです。
僕が思うに、19アンタレスの場合、太糸の釣りや、撃ち物がそれに該当します。
まず太糸がダメな理由を考えてみました。
なぜ太糸に向かないの?
12lb-100mというレギュラーサイズのリールなので、これまでの同サイズと同様に12lb前後を入れたくなるのが一般的ですよね。
むしろ通常のシチュエーションでは、下巻きしないとラインを巻きすぎてしまう8~10lbよりも、12lb-100mのスプールに巻くことで丁度いい糸巻量となる14lb(85m)、16lb(75m)を巻く人の方が多いと思います。
メタニウム系統や34mmジリオン、スティーズを使っている人も、12lb前後の「後」をメインにしているはずです。
ところが19アンタレスの最大のフィーチャーでもあるMGL3スプールは、太糸との相性にギモンがあります。
MGL3スプールの本質
ナロー化することで低慣性化を狙ったMGL3スプール。
と言う風に紹介されがちですが、大事なのはナロー化そのものではなくて、むしろ結果的に深溝化されたことなんですよね。
回転体の中心に近い部分の重量は、回転慣性に与える影響が少ないという理屈です。
MGL3だろうがMGL2だろうが、巻けるラインの量が同じだとしたら、回転慣性に与える影響が少ない部分に重量物(死に糸)を集めてレスポンスをよくしよう! ってーのがMGL3スプールの本質だと思います。
結果、狙い通りスプールの立ち上がりがよく、サミングやブレーキでの制動も効きやすい。
これは明らかに、体感できるレベルの違いです。
ナロー化の良し悪し
スプール幅19mmとなったMGL3スプールと、従来のスプール幅(22mm)のスプールを比較すると、糸巻面の表面積には約15%の差があります。
放出したラインによって糸巻面の直径が目減りする割合は、当然この影響を受けて大きくなります。
ラインが放出される長さと速さが同じであれば、スプールの回転数・回転速度もまた、この影響を受けて多く、速くなります。
この差をどうとらえるかは人それぞれですが、メチャクチャ大きな差だと僕は感じています。
これがさらには、巻くラインの太さの影響まで受けてしまうわけです。
ラインの太さによる影響
わかりやすいように12lbと16lbで比較してみます。
号数(号) | 強度(lb) | 標準外径(mm) |
2 | 8 | 0.235 |
3 | 12 | 0.285 |
4 | 16 | 0.330 |
5 | 20 | 0.370 |
号数でいうと、3号対4号なんですが、仮に12lb-100mのスプールにパンパンに巻くと、3号が100m、4号はそれに対し25%少ない75mのストックになります。
ということはこれもまた、ラインが放出される長さと速さが同じであれば、急激にスプールが痩せるのはどっちだ? って話になってきます。
結局、スプールの回転数・回転速度に大きな違いが生じるということです。
ざっくりまとめると
- スプールの外径・ラインキャパシティ、ラインの太さが同じであれば、ナロースプールの方が高回転に達しやすく、制動力が必要。
- スプールの外径・幅・ラインキャパシティが同じであれば、ラインが太いほど高回転に達しやすく、制動力が必要。
①ナロースプールは19アンタレスを使う以上はどうしようもないんですけど、さらに欲張って②太糸まで使ったらそりゃブレーキ設定がシビアになりますわなって話なんですよね。
通常のスプールでは「微々たる影響」で片付くんですが、それがより顕著に表れるのがMGL3スプールの特性です。
だから19アンタレスには細糸を
細糸とは言いますが、8lb以下のあまりに細いラインだと、それはもう19アンタレスの領分ではない釣りになってしまいます。
せいぜい20m、伸びて30m程度のキャスト主体で釣りをする場合、快適さとライン強度の折り合いがつくのは10~12lbかなと思いました。
それを超える太糸だと、明らかに回転数が上がります。
結局巻き物スペシャル
12lbのラインを生かせる釣りと言えば、かなり多くあります。
撃ち物や底物もアリはアリなんですが、シルキーな巻き感やズッシリした剛性感を生かすなら、やっぱり巻き物に使うべきだと僕は思います。

ただし、マキモノの中でもとにかく飛ばす釣りや深く沈める釣りには「別のリール使った方がいいんちゃう?」というのが本音。
だったらショートキャストを刻んで巻きまくるサーチベイト用のパイロットタックルにしちゃえってのが結論です。
撃ち物に使うべからず
趣味の世界なのにこう言い切ることは抵抗がありますが、あえて書きます。
12lbを超える太糸を扱いにくいことに加えて、
- 自重が重いこと
- ハイスピードギア不在
の2点から、お世辞にも撃ち物に向いているとは言えません。
じゃあ今後スタンダードになるであろうMGL3で撃ち物しちゃイカンのか! と思われてしまいそうですが、僕は個人的に、20メタニウムと同時発売予定の夢屋20メタニウムシャロースプールに注目しています。
当然、19アンタレスとは互換性がないので付け替えられませんが、MGL3で撃ち物がやりたければ、20メタニウムXG+夢屋20メタニウムシャロースプールを使うのがいいんじゃないかなって話です。
20メタニウムが事実上の対策品
もう一度言います。
夢屋20メタニウムシャロースプールに注目しています。

と思うじゃないですか?
実はこれ、14lbが55m、16lbが50m入ります。
まずキャパシティはOKです。

スプールを思いっきり回して投げるのには向いていません。
ピッチング主体の撃ち物の場合、出ていくラインはわずかなので、スプールの総重量が軽く、レスポンスが向上する浅溝スプールはすごくアリです。
おまけに19アンタレスにはないXGモデルがあるのもイイですね。

しつこいようですが、MGL3で撃ち物がやりたければ、20メタニウムXG+夢屋20メタニウムシャロースプールです。
まとめ
かつてはなんの特徴もないクソリールと評された19アンタレスHGですが、「あいつなら今俺の隣で寝てるよ」って感じですね。
テッテーテキに、使い潰したいと思います。