2017年、何の前触れもなく突然姿を現した17ヴァンキッシュFWですが、バス釣りでもある尖った使い方では右に出るリールがないほど優秀だということがわかってきましたのでシェアしたいと思います。
目次
17ヴァンキッシュFW
「FWってなんなのさ」という人が多そうですが、ずばりフレッシュウォーターの略で、これこそが淡水向けにチューニングされた、もっと言うとエリアトラウト専用のスペシャリティーモデルなのです。
その界隈(エリアトラウト界)では、ひょっとすると発売前から話題沸騰していたのかもしれませんが、それ以外の釣りではメディアで騒がれることもなく存在さえ知らない人が多い。そんな不遇の17ヴァンキッシュFW。
僕はというと、黒と金の伝統的な仏壇カラーに一目ぼれして購入してしまったので、なんとか使い倒したいところ。
リミテッドエディションを彷彿
ところでこの17ヴァンキッシュFW、一部の人は心待ちにしていたのではないかと思います。
というのはその昔(2013年)、ヴァンキッシュリミテッドエディションというリールが登場したときには、そこそこの反響があったように記憶しています。
12ヴァンキッシュのレーシングモデルというコンセプトで誕生したリミテッドエディションもやっぱりお得意の仏壇カラーですが、いまだに釣り場で頻繁に見かける人気ぶり。

13ヴァンキッシュ リミテッドエディション2500HGS
それもそのはずで、アレはラインナップがよかったですよね。
エリアトラウト・ソルトライトゲーム向けのC2000HGS、バス向けの2500HGS、エギング向けのC3000HGSDH、シーバスやヒラメ、グルーパーなど受けの広い4000XGという充実したラインナップで、しかも55,000~59,000円(税抜)という手に取りやすい(?)価格帯。
そんなこともあって、16ヴァンキッシュが発売されてしばらくすると、SNSなどで「今回もリミテッド出ないかな」と期待の声を耳にするようになりました。
16ヴァンキッシュが歴史に残る名作という(個人的な)評価も相まって、「出たら買う」と身構えていた人は少なからずいたはず。
ところが、登場したのはトラウト専用番手のみ。しかも同サイズ比で5,000円の値上げとくれば、がっかりする人も多かったことでしょうね。
でもまあ待ってください。そこはさすがのハイエンドモデル。磨き抜かれた個性を生かせばバス釣りでもちゃんと使えます。
今回は、ついつい買ってしまった17ヴァンキッシュFW 1000SHGの使用感をもとにオススメの使い方を紹介していきます!
仏壇を思わせる伝統的な配色
まず外観はこんな感じ。

17ヴァンキッシュFW1000SHG
好みがあるとは思いますが、僕はこの仏壇を思わせるジャパニーズトラディショナルな配色がたまらなく好きです。
黒いブランクスにコルクグリップといった一般的なバスロッドに合うじゃないですか?
肝心のスペックはどうでしょうか。
軽さにフォーカスしたスペック
17ヴァンキッシュFWのラインナップとスペックは下記の通り。
- 1000S
最大ドラグ力3kg、自重160g、フロロ糸巻き量3lb-100m、最大巻上長67cm、ハンドル長45mm - 1000SHG
最大ドラグ力3kg、自重160g、フロロ糸巻き量3lb-100m、最大巻上長80cm、ハンドル長45mm
この17バンキッシュFW1000SHGですが、最大の特徴は何と言っても抜群の軽さ。なんと16ヴァンキッシュ2500HGSの180gと比べて20gも軽量な160gです。1000番台なんだから当たり前なんですけどね。
ちなみにほぼ同格の16ヴァンキッシュC2000HGSは155g。「オイ!増えてんじゃねーか!」と言いたくなる気持ちもわかりますが実際に使ってみると誤差の範囲内です。…でも、なんで重くなってんだ?わかりません。
「じゃあ少し安い16ヴァンキッシュC2000HGSでよくね?」と言われそうですが、全然違うんですよねこれが。17バンキッシュFW1000SHGの「軽い」は何も自重に限ったことじゃないんですわ。
低負荷時の巻きの軽さが異常
16ヴァンキッシュはローターなど回転系の潤滑剤にグリスが使用されているのに対し、17ヴァンキッシュFWはオイルチューンが施されています。さらに淡水のみでの使用を想定し、防水機構「コアプロテクト」をオミット。
きわめて高い感度が要求される(らしい)エリアトラウトでのスプーニングやミノーイングのためにチューンされただけあって、低負荷時の巻きの軽さが尋常ではありません。
バス釣りにおいて、ミノーはともかくシャッドなどやや抵抗の大きいプラグでこれをやると全然ダメですが、ジグヘッドリグや軽めのネコリグ、スモラバを用いた中層攻略や、ステルスペッパーやセイラミノーをはじめとした抵抗の少ないI字系プラグの使用に対して、17ヴァンキッシュFW1000SHGは究極の回答と言ってもいいかもしれません。
だから巻き感度がすごい
巻きがエアリーということは、本来「ノー感じ」になりがちなルアーの挙動や、流れの変化を感じやすいということです。
エリアトラウトやアジングではこの「巻き感度」というものがとても重要ということで語りつくされてきましたが、初っ端から16ヴァンキッシュC2000HGSでアジングを始めた僕は、ほかのリールと比べたことがなかったのでそこまで実感できずにいました。
1/64〜1/16ozクラスのジグヘッドに3インチ程度のシャッドテール、ピンテールを合わせたスイミングやミドスト、1/32oz前後のスモラバのスイミングなど、僕がウルトラフィネスと呼んでいる釣りでは、これまで14ステラ2500S→16ヴァンキッシュ2500HGSを特に不満を感じることなく使用してきました。ところがさらにウルトラフィットするのがこれ、17ヴァンキッシュFWというわけ。
超軽量リグのスイミングにベスト
1/64〜1/16ozクラスの超軽量リグは、一定のレンジに定位することが難しいと感じたことはありませんか?ボトムすれすれをスイミングさせていたつもりなのに実は表層まで浮かび上がってきていたとか。
魚を寄せる力の低いリグなだけに、でたらめに巻くのではなく通したいコースを通す、レンジをキープすることが重要となってくるわけですが、抵抗がとても小さいためどこにリグがあるのかわからない。ウルトラフィネスを難しくしている要因のひとつだと思います。
ドロップショットリグなど「待ちの釣り」では、わずかな抵抗の変化を感じ取れるロッドを使うのが優先されますが、スイミングなど「横方向の釣り」ともなればそれだけでなく「巻き感度」にも頼らざるを得ない。
そんなときに17ヴァンキッシュFWがめちゃくちゃいいですよ。

スイミングスモラバのお供に
小径スプールで飛距離も◎
2000~2500番クラスが好まれるバス釣りにおいて、いまいちなじみのない1000番クラス(1000~C2000)ですが、最近はなかなか使えるんじゃないかと思っています。
最大の理由は2~3lbクラスの細糸を使用する際に限って飛距離が出やすいことですが、これが大げさではなく2500番に比べて本当によく飛ぶ。
近年、チョークガイド(元ガイド)の小口径化が進んでいますよね。キャストの際、放射状に解放されたラインの収束を助けるはずのチョークガイドにラインがバタバタと当たって失速するのを体感している人は少なくないと思いますが、リールのスプール径が小さいとこれが緩和されます。結果、よく飛ぶ。
上述したスイミングなどのメソッドでは、射程距離も当然長ければ長いほど有利なので、この特性は生かせますね。
気になるのはラインキャパ
とはいえ小径かつ浅溝ともなれば、ラインキャパには注意が必要です。17ヴァンキッシュFWの場合、公称ではフロロカーボンの3lbが95m巻けるとありますが、実用的なラインキャパはせいぜい3lb-70mぐらいでした。
余裕のある巻き量とは言えませんが、まあ切らない限りは問題ないですね。
ドラグも必要十分
2~3lbの細糸を使うわけですから、ドラグはせいぜい数百g…MAX1.2kgぐらいに設定できれば十分ですね。細糸使用を前提に考えれば、もう欠点がないように感じてきました。
まとめ
ジグヘッドリグやスモラバなど1/64〜1/16ozクラスの超軽量リグや、抵抗の小さいI字形プラグを2~3lbの細糸で巻く釣りに隠れた実力を発揮する17ヴァンキッシュFWは、今風の小口径チョークガイドを搭載したロッドにもウルトラフィット。
「トラウト専用」の枠を超えて活躍するすごいヤツだと思います!ぜひお試しあれ。
最後にひとこと
シマノのスピニングリールって、「ハイギアのシャロースプールモデル」なら2016年までずっと「HGS」だったじゃないですか?だから17ヴァンキッシュFWが発売されたとき「1000SHGってなんなのさ」と思った人も多いはず。
「もしかしてスーパーハイギア?」って期待したのに結局「シャロースプールのハイギアモデル」。結局HGSと同じなんですよ。がっかりです。