近距離戦主体の撃ち物用タックルであれば、8lbクラスであろうが14lbクラスであろうが常に浅溝スプールに軍配が上がると考えているMONSTERです。
この春に組み終えた3本のタックルには当然、すべて浅溝スプールをインストールしたわけなんですが、その快適性たるやここで語らないわけにはいかないレベルに達してしまったので、仕方なく書き綴ります。
目次
浅溝スプールと近距離戦
ボートはもちろん、おかっぱりでも遠投を必要としないカバー撃ちをはじめ、オープンウォーターの沈み物や地形変化を直撃するテキサス、フットボールなどの底物。
そりゃあもちろんフルキャストで届くか届かないかギリギリのカバーが綺麗に撃てたら釣れる魚も増えそうですが、操作系の釣りである以上、思ったようにアクションさせられる有効射程というのがあります。
結論から言うと、僕の技術で撃てる射程はせいぜい10m。底物なら15m、深さにして3mってとこですかね。
仮に15m沖へキャストし、ラインをピンピンに張った状態で垂直に着底させたとして、トップガイドから出るラインは16m強。実際にはダルダルに糸ふけが出ているんですが、それを考慮しても20m前後。案外、出ていないんですよ。
ブワブワに横風が吹いていればもっとラインが出ますが、そんな時はそもそも15m先のピンスポットに狙って落とすことは不可能です。僕の技術では。
ラインを沈めがちな釣りなので傷みはそれなりに出ますが、長めに見てもせいぜいリグから上3m程度まで。実際には1mまでが傷みやすいですね。その部分を10回カットしたところでマイナス10m。それに有効射程分の20mを足せば30m。
これが何を意味するかというと、僕のやるような釣りは30mもラインを巻いてあれば十分に成立するということです。
じゃあ80mも100mも巻いてどうすんだよ?ってことで、登場するのが何度もしつこく紹介している社外製スプール。僕の場合は撃ち物・底物用のリールには16メタニウムMGL XGを使っているので、それ用のKTFバーサタイルフィネススプールをインストールするというわけ。

KTFバーサタイルフィネススプールをインストールした2台の16メタニウムMGL XG
浅溝スプールのメリット
ラインがたくさん巻ける通常のスプールとパフォーマンスが同じなら、浅溝スプールを選ぶメリットはマジでありません。でも実際には、語り尽くせないほどのメリットがあります。
半面、デメリットはラインキャパが少ないこと、でたらめに遠投したいときに飛距離が出ないことの2点のみだと僕は感じています。
結局でたらめな飛距離の必要ない釣りに使うのだから、デメリットはないと言ってもいいですね。
ここではメリットのうち、最大の2点を紹介します。
①スプールの立ち上がりが早いこと
スプール自体が軽いことに加えて、ラインの巻き量が通常よりもはるかに少ないことで、スプールの総重量が圧倒的に軽くなります。ってことはつまり、スプールを回すために必要なエネルギーがより少なくて済むわけです。
軽量リグへの適応力が上がる
ベイトフィネス論考で散々既出ですが、軽くて立ち上がりが早いスプールによって軽量リグへの適正が増します。

3.3gのスモラバ?全然いけますよ
通常、撃ち物用のロッドはカバー戦を想定して作られているので、平たく言うと硬くパワフルですが、その分軽量リグを扱うのは当然苦手。
ロッドのパワーを落とさずに軽量リグを扱おうと思うならリールのレスポンスで補正をかけてやるしかないわけ。すると快適、とまではいかないにしろガチガチのロッドで総重量8gやそこらまでは扱えるようになります。
それでもロッド自体はパワフルなんだから上限ルアーウェイトは変わらない。これは滅茶苦茶なアドバンテージですよ。
これ以上に軽いリグは、素直にベイトフィネスに譲ります。
キャストスピードが速い
スプールの立ち上がりが早いということはそれだけ初速が出るということ。だとしたら軽いリグであろうが思いリグであろうがピッチングがやりやすいし、コンパクトな動作でも十分にラインが放出されるのでキャストも楽。
低弾道ピッチングやライナーキャストにこだわる人には特に大きいメリットで、サミングのタイミングが測りやすく着水音も最小限にできます。
②ラインを節約できる
無理やり感を感じるかもしれませんが、これだけはガチ。
16メタニウムMGLを基準に書きますが、純正のスプールは12lb-100mといういたって普通のラインキャパです。
馬鹿正直に12lbのラインを100m巻いたとして、撃ち物の場合、実際にスプールから出ていくのはどれだけ多く見積もっても30mまでですよね。残りの70mはスプールから出ていかないにも関わらず、水に触れることで痛んだり巻き癖が付いたりで日の目を浴びることはありません。
また釣行のたびに傷んだラインを切り捨てていったとすれば、スプール径(ラインを巻いた表面の外径)はどんどん痩せていきます。これによって飛距離は落ちるし巻き上げスピードも遅くなるので、結局は使い物になりません。
いずれも下巻きをすることで解決するように見えますが、この下巻きというのが厄介で、仮に低比重のPEラインでかさ上げしたとしてもスプールの総重量に大きく影響します。
射程の短い撃ち物には、100mというラインキャパはとにかくオーバースペック。それなら、はなからちょうどいい(2、3釣行分の)巻き量で使える浅溝スプールが結果的にエコ、かつ快適ということです。

ラインキャパが少ないことで無駄なラインを巻かずに済む
ラインは300m巻きのシューター・FCスナイパーがメインなので、1ボビンで12lbなら6回、14lbなら7回の巻替えが可能。無駄の出やすい純正スプールに比べてかなり経済的だと思いますね。
まとめ
それほど極端に遠投することのない操作系の釣りでは、それよりもカバーや沈み物を正確に打ち抜くピッチング・キャストの精度やラインのフレッシュさを重要視するべきです。
実際問題、浅溝スプールを使っていて獲れる魚が増えた!とは言い切れませんが、釣り自体は間違いなく快適になりました。
おすすめのセッティングなので、ぜひ試してほしいですね。