2017年より人気急上昇中のキーワード「パワーフィネス」。再び?いや三度目の脚光を浴びることとなったのは、ようやく使い物になるロッドが各社から出始めてきたからだと思います。
この三度目のパワーフィネスブームを牽引するバスプロ、ノリーズ伊藤巧氏が放つ渾身のパワーフィネスロッド「ロードランナー ヴォイス ジャングルスピン680JMHS」(品名なげーよ…)を紹介します。
目次
ロードランナー ジャングルスピン680JMHS
愛用していたパワーフィネスロッド、ビットーリアGVTS-67ML-PEが折れたことで急遽購入することとなったジャングルスピン680JMHS。
2016年末の発売以来全国的に品薄状態が続き、予約を入れても入荷するのが半年後なんてことがザラだったと聞きますが、僕は幸運にもゲットできました。
2018年には追加モデルのジャングルスピンヘビー700JHSが発表されましたが、シリーズが拡充されるってことはつまり…相当売れてるんでしょうね。
パワーフィネスとは何かを教えてくれる剛竿
パワーフィネスという釣りはいまいち定義化がうまくいかなかった釣りのひとつで、たとえば「ベイトフィネス!」と言ったらどんな釣りなのか思い浮かぶ人が大半だと思いますが、「パワーフィネス!」の場合は「???わかんねー」となることがしばしば。
中には0.6号であろうが2号であろうがPEラインで組むスピニングタックルの釣り全般をそう呼ぶ人もいるし、もう何が何だかわからない無茶苦茶な状態こそが今のパワーフィネス事情。はっきり言って、これまでメディアが紹介してきたパワーフィネス像があまりにも雑だったからしょうがない。
今になってスタンダードが確立されつつあるのは、2016年ごろから伊藤巧氏や草深幸範氏のピックアップされる機会が増えたからだと思いますが、同時に「なんて特殊な釣りなんだぜ!」と感じるユーザーも増えたんじゃないですかね。
とにかくスタンダードの話をしておくと、1.5号を基準とした強力なPEラインと、その強度を十分に受け切れるロッドを組み合わせて難攻不落のヘビーカバーを釣るのがパワーフィネス。イコール、フィネスとは名がつくものの、単なるパワーゲームなわけ。
まず目を引くのがスピニングロッド特有の繊細なイメージを覆す極太ブランクス。ビジュアルインパクトは強烈で、扱い方を間違えない限り折れそうにない安心感があります。

折れる気がしないごん太ブランクス
実際に1kg程度の静荷重であれば、曲がり切りすらしない。コワいのでやっていませんが、4kgぐらいでフルベンドしそうですね。とにかく十分な余力を残しているので、抜き上げも余裕って感じです。
軽量リグでは当然曲がらない
ルアーウェイトが5g前後であれば、とてもじゃないけどロッドの復元力で投げるなんてのは無理。まあこれは、わざわざティップを曲げてキャストする必要のないスピニングタックルだからアリっちゃアリですよね。
ベイトフィネスなら、少なくともティップでウェイトを受けられるロッドでないとライトリグを快適に投げられないですが、スピニングタックルの場合は構造上ロッドを曲げなくても飛びます。全然オッケー。オッケーイ。
ビジュアルからは想像できない軽さ
バットからティップセクションまでいかにも肉厚な質感ですが、そのわりに軽いのは低レジン素材だからなのか?チタンフレームトルザイトリングガイドをフル採用しているからなのか?はたまた無塗装が効いているのか?ぜんっぜんわかりません!
とにかく中弾性カーボンプリプレグを多積層プライしたどこかの天龍っぽいブランクスなのに、ビジュアルからは想像もできないぐらい軽量に仕上がっていますね。

無塗装ブランクス
この軽さってのが実は案外重要で、ピッチング、フリッピングでのプレゼンテーションを基本とするパワーフィネスではロッドを振り上げる動作が快適にできないとしんどい。ベイトタックルでやるそれに比べてリグが軽いため、この振り上げるっていう動作が真面目に重要なんですよね。
チタンフレームトルザイトリングガイド
これの何がすごいかって、なんつっても軽いんですよ。やっぱりバスロッドっていうとステンレスフレームSiCリングが主流ですが、「あとほんの少しでも軽く」するなら必須。ヘラクレスファクトなんかも同様の理由で採用してますね。ただしとんでもなく高い。ガイドだけ買おうとしても1セットで10,000円近くするうえにトップガイドは別売り。でもまあ、ついてるとうれしいよね。

フルチタンフレームトルザイトリングガイド
リング内径はやや小さめ→1.5号がベスト
最近のロッドらしくガイドが全体的にやや小さく、SiCリングに比べて内径が大きいトルザイトリングとはいえデカくはありません。PEラインの1.5号程度がちょうどよく、2号も使えないことはないですが著しく飛距離が落ちますね。
ショートグリップで縦のロッドワークがやりやすい
大体バスロッドってやつは全長に比例してグリップ長が長くなるアホな設計がほとんどですが、さすがにパワーフィネス専用をうたう尖ったロッドなだけあって、ちゃんとショートグリップにされています。
ピッチングやフリッピングをやるにあたってこれは死活問題で、ロクハチというセミロングな設定を片手でさばくうえで最高クラスに扱いやすい長さに仕上がっていると思います。先重りするんじゃないかって?めちゃくちゃしますよ。
その他こだわりポイント
強くて軽いだけならそれなりのパワーフィネスロッドがそこそこありますが、680JMHSをチョイスするうえで見逃せない特徴といえば、やはり今時珍しいダウンロックということでしょう。

VSSリールシートをダウンロックで採用
握り込みやすい、ブランクタッチしやすいダウンロックはマストだろ!
VSSリールシートは今やバス用スピニングロッドのスタンダードですが、ほとんどメーカーがこれをアップロックで使っているわけです。そうなるとコルクであれEVAであれ、握り込まない部分にフォアグリップが取り付けられるだけでなく、肝心の手のひら部分にはスクリューもしくはフードが接触するという意味不明の展開に。
以前ロッドメーカーの人になぜアップロックなのかと尋ねたことがありますが、見た目が好評ということと、ロックナットやフードなどの重量物が後方に配置できるため先重りを緩和できることが理由なのだそうです。
これは好みの問題が大きいかもしれませんが、ぎゅっと握り込むためにも、人差し指でブランクタッチするためにも、ダウンロックのロッドが増えてくれればうれしいんですけどね。とにかくこれは680JMHS購入の決め手になりました。あ、ちなみに680JMHSの特徴的なフォアグリップ(ロックナット部分)の材質はEVAです、一応念のため。

フォアグリップはEVAショートグリップ
とにかくオススメのジャングルスピン
僕がここでオススメしても何にもなりませんが、絵に描いたようなパワーフィネスがしたいという人には手放しでオススメできる680JMHS。パワーフィネスロッドの購入で迷っている人は、ぜひご参考までに!