フィッシングショー大阪2018が終了し、みなさんの「今年買うものリスト」が更新されたことだと思います。バス用リールでは18バンタムMGLに注目が集まっているとは言え、やっぱり外せないのがスピニングリールのツートップ、シマノ 18ステラとダイワ 18イグジストですよね。
僕はというと、すでに18ステラC3000XGを予約してしまっているためリスト更新には至りませんでしたが、今回のショーで両機を巻き倒して感じたことをシェアしたいと思います。
目次
そもそも方向性の違うステラとイグジスト
バス釣りに使用するスピニングリールの中でもひときわ高価な両機。それぞれがシマノ、ダイワのフラッグシップシリーズであるがためによく比較されがちですが、そもそもはまったくコンセプトの異なるシリーズなので、本来は並べて比較するような対象じゃあないよな。
それでもやっぱり同程度のお金を出して買うんだから、どっちが優れモノなのかと甲乙つけたくなる気持ちはヒジョーにわかります。実際に僕も何も見ずに18ステラC3000XGをポチってしまったもんだから、ショーではむしろダイワブース滞在時間の方が長かった。なにをしていたかというと、もちろんイグジストのアラ探しですよ。
コアソリッドシリーズの頂点・ステラ
15ツインパワー、15ストラディック、17アルテグラを擁するコアソリッドシリーズの頂点にあたる18ステラ。コアソリッドシリーズというのは、平たく言うと「タフさ」を売りにしたシリーズで、それに由来する巻き心地の良さが定評。いかにもギア屋のシマノっぽい特徴を備えたリールが多いですね。でも全体的に重めなのが玉に瑕。
対極には16ヴァンキッシュを頂点とした「軽さ」にフォーカスしたクイックレスポンスシリーズがありますが、ローターなど各回転系部位の軽量化のおかげで巻き出しが軽く、バス釣りに限って言えばこちらの方が実用的な感じがします。
LIGHT&TOUGHコンセプト・イグジスト
すでに海外モデルでテストされ、今年から国内向けプロダクトにも採用されたLTコンセプト。LIGHT(軽量)かつTOUGH(頑丈)、イコール、どう考えても理想のリールですが、18カルディア、18フリームス、18イグジストがこのコンセプトシリーズにあたるようです。
18カルディアはともかく、カタログスペックを見ている限り18フリームスは普通に重いので、すでによくわからないコンセプトになりつつありますが、18イグジストはガチでスゴそうだ。
互いに歩み寄る両雄
18ステラと18イグジスト。互いに方向性がまったく違うと前置きしましたが、実はそれは昔の話。今回明らかになったのは、前モデル(14ステラ、15イグジスト)でははっきり区別できていた方向性の違いが大幅に薄まり、同じ土俵で勝負できるリールになってきているということです。
18ステラはどこへ行く?
14ステラの登場時、ぶっちゃけ「これはもう、進化のしようがないな」と感じました。マグネシウムボディ+アルミローター(小番手はマグネシウムローター)という金属をふんだんに使用した高剛性HAGANEボディ。精密冷間鍛造技術によりプレス成形するHANAGEギア。歯数が多く巻き心地抜群のマイクロモジュールギア…。コアソリッドシリーズにこれ以上何を望むんですか?もうないでしょ、常識的に考えて。

すでに完全無欠に思える14ステラ
じゃあクイックレスポンスシリーズ特有のマグナムライトローターを採用するんじゃねーか?とも思いましたが、16ヴァンキッシュが勢いよく売れていそうなので、あからさまにはやらんでしょう。なんて考えている時期が僕にもありました。
クイックレスポンス化するステラ
まあ18バンタムMGLが17クロナークMGLの息の根を止めたことを考えるとありえないでもないですが、本当にやってしまうのがシマノという会社。今回の18ステラもこれまで通りコアソリッドシリーズにラインナップされているんですが、クイックレスポンスシリーズなのかと思うぐらい巻きが軽い。
その巻き出しの軽さは14ステラとは次元が違うレベル。フィッシングショー大阪2018の最終日に連日巻き倒されてアタリのついた展示機(2500SHG)を触りましたが、控えめに言っても自分の16ヴァンキッシュ2500HGSと同等かそれ以上。アルミローターなのに。はっきり言って、これにはマジ驚きました。
さすがに自重は205gあり、16ヴァンキッシュ2500HGSよりも25g重い(それでも14ステラ2500HGSより15も軽量化されている)のですが、レスポンスは大幅にクイックになっています。
ところが僕がすでに予約してしまっているC3000XGはやや巻き出しが重かったですね。エクストラハイギアなので当たり前なんですが、これにはちょっとショックを受けましたね~。

鏡面加工が美しい18ステラC3000XG
一方ガチタフ路線にシフトし続けるイグジスト
「マグネシウムと同強度でより軽い!」と、これまで自信満々に採用してきたカーボン短繊維含有樹脂ザイオン(ZAION)。ふたつ前のモデルにあたる12イグジストではボディ&ローターとも主素材はザイオンだったにもかかわらず、。前モデルにあたる15イグジストではローターの素材として採用されたのみでボディはG1ジュラルミン(つまりアルミ)。
15イグジストも主素材はザイオンだったようですね。読者から指摘をいただいたので訂正します。
僕は素人予想を鵜呑みにしてしまっていたようです。大変失礼いたしました!そしてありがとう!
「18イグジストはどっちだ?」とヤマを張っていた人が多かったことだと思いますが、実際に採用されたのはなんとザイオンよりも重く、強度が同等のマグネシウムでした。どういうことなんだぜ?
マグネシウムモノコックボディ
僕は技術者じゃないのでよくわかりませんが、たぶん他モデルやシマノ製品との差別化という目的でモノコックボディの採用が最優先となり、樹脂では精度を出すのが難しかったとか、十分な強度が確保できなかったとか、向き不向きがあったんでしょうね。
どんな理由にしろ、とにかく18イグジストはザイオンボディじゃない。これは樹脂という響きに漠然と不安を感じるユーザーにとってはうれしいことだと思います。ライトでタフなリールといえば、マグネシウムという流れは今後も続きそうですね。
そして肝心なのは材質よりもどちらかというとモノコック構造ということで、採用テクノロジーとしてはもっともアピールしたい部分だと思います。コアソリッドボディ採用の18バンタムMGLが発売前から愛されているように、シンプルな構造体は強い上にビス穴などのデッドスペースが少なく、より小型化、より軽量化できるといったメリットだらけ。だから結局、強度を維持しつつザイオンボディー並みの軽さを実現したっつーわけ。

18イグジスト
実際にショーではバス向けのあらゆる番手を手に取りましたが、巻き出しの軽さは17ヴァンキッシュFWクラスなのに加え、多少力を入れてねじってみてもまったく歪みを感じない。本当にLTコンセプトを実現している。最高だぜ!
16ヴァンキッシュ死亡のお知らせ
軽量かつハイレスポンス、さらにより安価な16ヴァンキッシュの登場で、失意のうちに息を引き取った15イグジスト。そして今回生まれ変わった18イグジストは、まずは憎きヴァンキッシュを一撃で葬ることになりそうです。
というのもやっぱりモノコックボディはすごい。リールフットから伝わってくる剛性感は言うまでもなく、自重の軽さ、巻き出しの軽さともに16ヴァンキッシュを上回っている気がしますね。まあ、価格相応ってことですかね。
最強はどっちだ?
質実剛健という個性を損なわずに、巻き出しの軽さという実用性を高い水準で実現した18ステラと、軽量でありつつ必要十分なタフさを得た18イグジスト。誰がどう見ても本気で作ったことがうかがえる両機。
これまでのシリーズでは両社のフラッグシップ同士、あえて同じ土俵で戦わないようにしてきたような感じがしましたが、今作ではどちらも同じ場所を目指して歩み寄ってきたような印象を受けます。
「こっちがいい!」と言い切るにはまだまだ早いと思いますが、もう好みで選んでも失敗しないレベルにはなってきていると思いますね。