各種メディアで鮮烈なデビューを果たし、ジャパンフィッシングショー2018でその存在感を確かなものにした18バンタムMGL。
アルミ一体成型の「コアソリッドボディ」に真鍮製「マイクロモジュールギア」の強力無比なコンボに加え、パワーギア、ノーマルギア、ハイギア、エクストラハイギアのフルラインナップでまったく隙がない!
さらには夢屋浅溝スプールまでもが同時発売の手厚さで、今後一線での活躍が約束されているすごいやつ。
一度巻き起こったバンタム旋風は、発売後も勢いが止まりませんね。
そんなモンスターリールの登場で窮地に追いやられたかに見えた名作16メタニウムMGLですが、スペックを比較していくとなんてことはなく、個人的にはバンタム発売後も相変わらず最強の座を譲りそうにありません。
何言ってんだコイツ。と思いますよね。じゃあさっそく、カタログスペックから読み解いていきたいと思います。
目次
伝説復活、18バンタムMGL
僕が生まれるよりもはるか昔、1980年に初代バンタムが発売されたそうです。
はっきり言って名前しか知りませんでしたが、40年近く経ってのリニューアルというのは当時を知る人たちからすると感慨深いでしょうね。
化石かっつーのに、オーバーホールを繰り返して使い続けている猛者もいます。
とにかく伝説復活。シマノとしても決してコケるわけにはいかないわけ。
カタログスペックは下記の通り。
- パワーギア(PG)
最大ドラグ力5kg、自重215g、糸巻き量16lb-100m、最大巻上長59cm、ハンドル長42mm - ノーマルギア
最大ドラグ力5kg、自重215g、糸巻き量16lb-100m、最大巻上長66cm、ハンドル長42mm - ハイギア(HG)
最大ドラグ力5kg、自重220g、糸巻き量16lb-100m、最大巻上長76cm、ハンドル長42mm - エクストラハイギア(XG)
最大ドラグ力5kg、自重225g、糸巻き量16lb-100m、最大巻上長86cm、ハンドル長45mm
前述したとおりアルミ一体成型の「コアソリッドボディ」と真鍮製「マイクロモジュールギア」、さらに特別記載はされていないけど「テーパードラインガイド(メガホン型レベルワインダー)」も実装されている。
それでいて定価39000円(税抜)という安さ。
とりあえず、ここまでの情報だけで僕の大好きなクロナーク系統を完全に絶滅にさせるほどの天変地異を起こしそうです。クロナーク、持ってないけど。
デザインもシブいの一言。
注目度ぶっちぎりナンバーワン
バンタムブランドというスピリチュアルな付加価値もあるにはありますが、それより注目したいのはカタログスペック。とんでもないウルトラバリューなリールであることがひしひしと伝わってきます。
個人的には18ステラや18イグジストを抑えて注目度ぶっちぎりナンバーワンの新製品ってとこですかね。
こんなリールが欲しかった!
ますます細分化が進むバス釣り。だからこそ受けの広い「バーサタイル」な道具が好まれる傾向にはありますが、一方で「尖った専用タックルを組む楽しさ」に夢中になるコアなバサーも少なくないはず。ってかバス釣りの楽しさって、ソコですよね。
シマノには何をやらせてもたいていは形になってしまう優等生、まさしくバーサタイルなリールとしてご存知16メタニウムMGLがありますが、何もかもが100点でこなせるわけじゃあない。だってスーパーマンじゃねーんだぞ、わかってんのか?
僕は16メタニウムMGL XGを3台、撃ち物やチャターベイト、スピナーベイトなどのワイヤーベイティング、フロッグやパンチングといったパワーゲームにも愛用していますが、実際に使っていると不満を感じる場面もあるっちゃあるんですよ。
「ハハーン、フロッグやパンチングですね」と思う人が多そうですが、そうしたパワーゲームにはむしろ16メタニウムMGLがベスト。
単純な剛性面では明らかに18バンタムMGLに劣りますが、フロッグやパンチング程度の負荷でギアが飛んだりリールが空中分解したりしません。せいぜいドラグが滑るぐらい。サメやマグロを相手にしてるわけじゃないんだからさ。
これは勘違いしてほしくないので何度でも書きますが、撃ち物を中心としたパワーゲームには、軽くて基本性能ソコソコな16メタニウムMGLがベスト。これは絶対に譲れません。
アルミギアが欠けただとか、すぐゴリるだとか、いちいち大げさな人たちは使い方が悪いんですよ。急激に負荷をかけたとしても、ギア1枚にかかる負荷はMAXドラグ値を超えません。物理的限界を無視すれば、そりゃリールが爆発することだってありますよ。
16メタニウムMGLへ募る不満
不満を感じるのは3/8ozを超えるチャターベイトやスピナーベイトなど、ワイヤーベイトをはじめとしたミドルウェイト以上の巻き物の使用感ですが、18バンタムMGLならそんな不満を解消してくれそうです。
剛性を生かしてミドル~ヘビーウェイトの巻き物に
撃ち物が大好きな僕から見ても、バス釣りの醍醐味と言えばやっぱり巻物。
特にワイヤーベイトの類は独特の見た目と巻き心地がいかにも「バス釣り楽しんでます」って感じがしていいですよね。
そんなワイヤーベイトの中心的なウェイトは3/8oz。
この表記、ほとんどの場合ヘッドウェイトのみを指すので、ブレードやトレーラーを含めば1/2ozクラスと考えるのが妥当です。
とにかく基本的にはミドル〜ヘビー級のルアーです。巻き抵抗も当然大きい。
ワイヤーベイトは僕の場合、ジグ撃ちか?ってぐらいカバーに絡めます。絡めるというかむしろ直撃です。
そういう使い方だと、巻き始めとカバーから出てすぐのバイトが多く、巻きが安定する前にさらにもう一段負荷が加わるため、リーリングをビタ止めされて焦ることがしばしばあります。
ところが手持ちの15カルカッタコンクエスト101HGで同様の釣りをやると、面白いようにはじめからゴリゴリ巻ける。
そんなことを繰り返すうちに「これが剛性の違いか」と気付かされました。もちろんギア比の違いもあるんですけど、剛性感が与える影響は大きいです。

ワイヤーベイトメインにカルカッタコンクエスト101HGを使用
剛性は撃つ釣りには不要
かたやパンチングやフロッグを含む撃ち物ではバイトが出てから掛けるまでにややゆとりがあって、食いの深さを聴いてから掛けたり、送ってから掛けたりします。
オラア!と思いっきりフッキングした後はエクストラハイギアのスピードを生かしてジェットスキー状態でランディング。一方的なゲームになりがちだから剛性が気になることってそんなにないんですよね。
高剛性ロープロファイルの決定版
ただでさえゴリゴリ巻いて負荷がかかっているところに、さらに負荷がかかると一瞬とは言えパワーの伝達が滞る。
そんな高抵抗な巻物には、とにかく何があっても歪まない、ガッチガチでタフなやつが必要ということです。
なら初めから15カルカッタコンクエスト101HGを使えって?あのな、ロープロの話をしてんだよ!
それでも揺るがない16メタニウムMGLの優位性
18バンタムMGLがグッドスタッフということは疑いようがないですが、深掘りすればするほど16メタニウムMGLの凄さを再確認することとなります。

最強か?ひょっとして
早くも結論になってしまいますが、オプションまで含めてそれぞれが個性を生かして戦えるよきライバル関係となりそうです。
そうはわかりつつも、とりあえず比較していきましょう。
34mm径MGLスプール機の頂上対決
ともに34mm径のMGLスプールが搭載されている両シリーズ。デフォルト状態でのラインキャパ(メタニウム=12lb-100m、バンタム=16lb-100m)には差があるものの、夢屋純正オプションスプール(メタニウム深溝=16lb-100m、バンタム浅溝=12lb-100m)まで考慮するとまったく互角のキャスタビリティがあると言えそうです。
実際にはレベルワインダーの摩擦抵抗がどうたらこうたら言う人がいますが、ひとこと言わせてください。あのな、航空力学やってんじゃねーんだぞ?
34mm径のMGLスプールは12lb-100mなら1/4oz以上、16lb-100mなら3/8oz以上のルアーウェイトが快適といったところですが、この2組で一般的なバス釣りをほぼ網羅できるほどのバーサタイル性を備えたとんでもないスプールです。
現に3台所有している16メタニウムMGL XGは、そのうち1台に(やる釣りに応じて)深溝スプールを入れて使用していますが、16〜20lbのモノフィラメントラインや60lb前後のPEラインを用いたヘビーな釣りにとてもフィット。一方デフォルトスプールには12〜14lbを用いた幅広い釣りにマッチします。
互いに「エンジンは同じ」といった具合。それも2018年時点で最高峰の回転系を搭載しているとみていいでしょう。
最大の違いは自重
カタログスペック上での最大の違いは自重で、16メタニウムMGLはギア比を問わず175gなのに対して18バンタムMGLは215〜225gと、最大で50gの差があります。
50gって言ったらジョインテッドクローのオリジナルサイズ1個分ですよ。
金属の塊カルカッタコンクエストの100サイズでさえ215〜220gなので、18バンタムMGLもまた最近のベイトリールの中では最も重い部類、ウルトラヘビー級のリールということになります。
一昔前のリールと比べれば、ごく普通なんですけどね。
「重い!」と言うとマイナスのイメージを持ってしまいがちですが、安定した動力の伝達が重要となる巻き物では上述のカルカッタコンクエストのような高剛性リールが好んで使用されます。
これはもうあえて重くしていると言っても間違いじゃない。意図的に住み分けが図られているのだと思いますね。
軽量・最速のメタニウムは撃ち物の最適解
軽量であることから小技の効く16メタニウムMGL。さらに言うと撃ち物向け番手のHG、XGに限り、バンタムの同番手よりも回収が早いという特徴を兼ね備えています。
- 16メタニウムMGL XG
最大ドラグ力5kg、自重175g、最大巻上長91cm、ハンドル長45mm - 18バンタムMGL XG
最大ドラグ力5kg、自重225g、最大巻上長86cm、ハンドル長45mm
16メタニウムMGL XGの回収速度はシマノのバス用ベイトリールの中でも最速。これはもう撃ち物に対する適正は18バンタムMGLを圧倒すると考えていいと思います。
シマノさん、そういうことですよね?
安定感のあるバンタムはステディな巻き物に
一方でカルカッタコンクエストのようにずっしりとした安定感があり、明らかに高剛性な18バンタムMGLは抵抗をかけ続ける釣り、巻き物に高い適正があると考えられます。
16メタニウムMGLにはないパワーギア(PG)の設定がラインナップされていることも、つまりはそういうことなのだと思います。
まとめ
それぞれが個性を生かして戦えるよきライバル関係と上述した通り、総合的に見れば「どちらが上」ということはないように思います。
どちらもバス釣りにおける「ど真ん中」を守備範囲とする同じ34mm径スプール機のフラッグシップとして活躍が予想されます。
18バンタムMGLの登場で、これまで何でもかんでも16メタニウムMGLで通していた無理やり感が解消され、より理想的なタックル構成が実現しそうですね。
18バンタムMGLは4月に購入予定!だったが…
レフトハンドルモデルが発売延期(5月)となったため、購入を見送りました。これについては別記事も書いています。
うーん、非常に残念!